ん?
2011年7月13日 ん? FILE - 012
核燃料を『液体』にすれば、過酷な事故は原理上起こり得ない「安全な原子力発電」ができるって、本当なのか?
文藝春秋のウェブサイトで読んだ記事。驚いた。マジか? これが本当なら、すごいことではないのか?
なにしろ、チェルノブイリや福島のような「過酷な事故は、原理上、起こり得ない」うえに、世界中で始末に困っている「プルトニウムを(燃やして)消滅させられる」というのだから。
本当かどうかを検証する能力などもちろん私にはないのだが、それ以前に、高校の物理Ⅰと化学Ⅰについていけなかった頭では、この点とこの点が疑問…と、疑問点を具体的にピックアップすることもできず、ホントならすごいけどホントなのか?…と、漠然と全体を不思議に思うことしかできない。ただそんなんでも要点を拾うことはできるので、拾ってみる。
いちばんのポイントは、核燃料を、固体ではなく、液体にして使うことなのだそうだ。
氷 → 水 → 水蒸気 … と例を出すまでもなく、固体より液体のほうが温度が高いわけで、固体のウランを燃料にしている今の原発が「冷やせなくなってムチャクチャなことになった」ことを考えると、核燃料を液体に…なんて、とてつもなく危険なように思えるのだが、単純にウランを液体にするようなアホなことではないようだ。
- 『溶融塩』という、放射線を浴びても変質したり壊れたりしない、とても安定した液体に、核燃料を溶かし込んで使う。
- 核燃料は、ウランではなく、自然界に存在する元素の中でウランに次に重い『トリウム』を用いる。
記事から、この方法のメリットをピックアップすると…
- ウランと違って、トリウムを燃料にするとプルトニウムがほとんど出ない。
- ウランと違って、トリウムは世界中にあり、埋蔵量も豊富。
- 溶融塩にプルトニウムを溶かしこんで発電の燃料にすることもできるので、世界中で始末に困っているプルトニウムを消滅させられる。
- 溶融塩は、摂氏500度以下になると、ガラス状に固化し、水とも空気とも反応しない。炉(溶融塩炉)の下に冷却水(ホウ酸水)のプールを設け、炉の下部に落下弁を設置し、非常事態には落下弁を開けて溶融塩ごと冷却水に落としてやれば、ガラス固化して核分裂連鎖反応は止まる。水にも溶けず気化もしないので、放射性物質は流出しない。
- その落下弁は、普段は冷却することで固体状を保ち弁になっているというタイプのものにすることで、弁を開けるのに電力は不要になる。「全電源喪失」しても、弁の冷却が止まって溶ける(=弁が開いて、燃料を溶かしこんだ溶融塩が自然に冷却水のなかに落ちてガラス固化する)
- 安上がり。
「ガラス固化」というのは聞いたことがある。原発で出る高レベル放射性廃棄物の最終処理に関する技術で、日本ではうまく行っていないが、原発大国フランスでは40年以上の実績があって実用化されているのではなかったか。日本でうまく行ってないのは、独自技術にこだわったせいだというようなことを、どこかで読んだような…。
高レベル放射性廃棄物のガラス固化と、この『溶融塩炉』が、同じ系統のものなのかは知らないけれど、何かあればほっといても高レベル放射性廃棄物の最終処理みたいなことになるうえに、プルトニウムをなくしてしまえるのなら、プルトニウムの後始末限定でやってみては…とか考えてしまう。
この記事は、文藝春秋のサイトの「雑誌>本の話>自著を語る」…2001年に出版された『「原発」革命』という本が福島の事故後に『原発安全革命』とタイトルを変えて緊急増補となったことを受けてのもので、つまりは着想も技術も20世紀のうちからすでにあったわけだが、従来の原発そのものが、プルトニウムを作って軍事利用するための世界的な方便だったので、『溶融塩炉』はてんで相手にされなかったどころか、妨害されたのだそうだ。(テレビとかで取り上げられたこととか、まったくないんじゃなかろうか)
溶融塩炉のリスクが、プルトニウムを今のまんまにしとくことのリスクより、小さいならば………とか、足りない頭で考えてしまうなあ。
(by 淡水魚)
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