ゆのがみ博士の「半導体オタクの部屋」
「半導体などエレクトロニクス」や「社会科学」に関する、超ニッチなコラム。
あるいは、「半導体技術者の視点で社会科学の研究」を推進し、「社会科学者の視点で半導体の技術開発」を推進する博士の、ニッチで愉快な日常を綴ったコラム。

湯之上隆(ゆのがみたかし)
工学博士。微細加工研究所・所長。半導体技術者、社会科学者。
京都大学大学院工学研究科・非常勤講師、室蘭工業大学・非常勤講師、東北大学工学部・非常勤講師。
「日本『半導体』敗戦」(光文社ペーパーバックス)
「日本『半導体』敗戦」(電子書籍版)
公式サイト:微細加工研究所(湯之上・NET)
2010年2月17日 ゆのがみ博士の「半導体オタクの部屋」 第3回 (3/4)
日本の半導体産業を襲った、衝撃的かつ笑劇的な法則 (3)
ピーターの法則
1)階層社会では、
・全ての人は(現在の地位において有能ならば)昇進する。
・(いずれは)その人の「無能レベル」に到達する。
・職務を遂行する能力がなくなると、それ以上は
昇進しない。
2)組織に「十分な地位」と「十分な時間」がある場合、
・全ての人は、その人の「無能レベル」まで昇進し、
そこに留まり続ける。
・やがて、あらゆる地位は、職責を果たせない無能な
人間で占められる。
・その結果、仕事は、まだ無能レベルに達していない人が
行う。
3)昇進は「無能への道」の一里塚。
・スーパーエンジニアが、スーパー無能マネージャに!
・組織の上層部は死屍累々。
・無能レベルに達する人の人数は、組織に存在する
「地位」の数に比例する。
・十分な時間と十分な地位がある組織は、
「無能の組織」と化す。
例えば、野球の世界では、スーパースターだった長嶋茂雄が引退し、翌年、監督になったが巨人は史上初の最下位に転落した。これなどは、スーパー無能マネージャの好例だろう。
また、冒頭に挙げた部長だらけの半導体合弁会社も、間違いなく無能化していると思われる。
創造的無能のすすめ
ピーターは、無能にならないための処方箋も示している。それによれば、
・「無能」のフリをするしかない。
・昇進しない。「創造的無能」を目指す。
・変人ぶりを発揮する。
(例:奇行にはしる。普通でない言動、服装をする)。
とある。
筆者が考えるに、ノーベル賞を受賞した島津製作所の田中耕一氏は、このような「創造的無能」の成功例ではないだろうか? 聞く所によれば、田中氏は、課長昇進のチャンスを二度までも拒否して平研究職に留まり続けたという。もし、田中氏が課長になっていたら、ひょっとするとノーベル賞学者にはなれなかったかもしれない。したがって、田中氏は、自分が最も実力を発揮できる環境を求め続けた強い意志の持ち主であり、創造的無能の成功者であったと言えるだろう。

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第2回 前田和夫氏の「はじめての半導体」シリーズ
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